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事例
出光興産株式会社様 XHQ導入事例
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IT賞 多岐にわたる製油所の操業情報を
瞬時に把握可能な、
リアルタイム操業マネジメントシステム。
製油所の収益向上、意識改革を実現した、
日揮情報システムのプラントソリューション。
北海道精油所
 日本を代表する総合エネルギー企業である出光興産株式会社は、製油所における操業管理をより高いレベルで実現するため、2006年、年数の経過した旧システムを刷新することになりました。新システム構築にあたっては複数のパッケージソフトウェアを検討。同社が最終的に選択したのは、石油業界における深い業務ノウハウとシステムコンサルティング能力を誇る日揮情報システム株式会社というパートナーと、シーメンスのリアルタイム操業マネジメントシステム「XHQ」でした。
 同社と日揮情報システムの強固なパートナーシップが約4ヶ月という短期導入を実現。本稼働から1年が経過した北海道製油所では、収益向上、ロス改善とともに全所の意識改革が進むなど多大な導入効果を発揮しています。
名実とともに日本を代表する総合エネルギー企業
 出光興産株式会社は、名実とともに日本を代表する総合エネルギー企業です。1911年の創業以来、「人が中心という人間尊重の事業経営」を経営の原点として発展してきました。
 今日、原油の生産・供給力は、中東を中心としたOPEC加盟国に集中しています。さらに、中国やインドをはじめとする経済発展の著しい国々のエネルギー消費量は今後も増大することが予想されています。資源確保は国家レベルの重要な課題でありながら、原油価格の高騰、円安傾向など、厳しいコスト環境にさらされていることも事実です。
 そうした中、同社は資源の国内安定供給のため、リスクと採算性のバランスをとりながら、中長期的な視点で油田および石炭鉱山の開発を行い、埋蔵量の確保と生産量の拡大に努めるとともに、自社グループで保有するVLCC船隊で中東産油国と日本を往復して原油の輸送を行い、製油所・工場にて石油、石油化学製品を生産、内航タンカーやローリーで全国に配送し、SSなどを通じて消費者の元まで製品を届けています。
 また、環境保護は資源を扱う企業の最重要責務と、資源を無駄なく効率よく利用するため、製油所や石油化学工場で発生する副産物の相互有効利用、燃料・電気などの相互融通などを図り、省資源、省エネルギーかつ高効率で安全な操業に注力しています。
 さらに、総合エネルギー企業としての使命感から、石油製品・基礎化学品の製造販売にとどまらず、石炭・ウランの資源開発など、幅広く燃料を調達する取り組みも継続的に行っています。
操業状況を一元的に把握するために1980年代から情報系システムを導入
 出光興産では、製油所の操業状況を総合的に把握するため、基幹系システムとはまた別のラインで情報システムを構築することに早くから力を入れてきました。
 最初は「Idemitsu Refinary Information System」(通称:IRIS)と名づけられたメインフレームベースのシステムで、利用は1980年代から始まっています。製油所の石油精製における操業情報が横断的に取得できる点で画期的な試みでしたが、運用保守にコストがかかり、データの扱いや改修に工数がかかったことから、クライアント/サーバ型のオープンシステムへ自社開発で移行して稼働を開始しました。2000年4月のことです。
 WindowsNT4.0をサーバにVisual Basicで開発されたシステムは、「新IRIS」と命名されました。石油精製の現場で利用される専用システムからデータを新IRIS上に構築したセントラルデータベースに一元的に集め、製油所単独の操業情報だけではなく、各製油所間の状況比較とともに、官庁情報など社外情報なども盛り込み、IRIS時代より広範かつ詳細なデータがGUIベースで見られるようになりました。
 ただ、スコープの広い壮大なシステムであったため、目的のデータにたどりつくにはいくつも階層を下る必要があり、時間がかかりました。
 また、データそのものは把握できるのですが、そのデータをどのように解釈するかは、それを見る担当者にゆだねられました。
 トップへの会議資料を作成する際も、「新IRIS」からデータを取得し、手元でグラフなどを作成し、それをどう解釈するか整理した上で最終的な文書にまとめるというプロセスが必要とされるので、その準備にはゆうに1週間程度かかり、本来業務を圧迫しがちでした。
 数年後、WindowsNT4.0のサポートが終了するという時期が迫ってきました。ハードウェアの保守部品も手に入らなくなりつつあって、早急に次の方策を考えなければなりませんでした。Visual Basicで開発したソフトウェア資産を、新しいアーキテクチャ、新しい言語で開発しなおすとしたら、多大なコストがかかります。悩んでいたところへ訪ねてきたのが、「XHQ(neXt generation Head Quarters)」というリアルタイム操業マネジメントシステムを携えた日揮情報システムとシーメンスの担当者でした。
 XHQは、さまざまな業務領域における現状の最新情報を一括して管理して、迅速な経営判断、業務改善を行えるようにするアプリケーションで、特にプラント・工場などの操業管理に強みを持っています。彼らは、製油所のさまざまな操業情報を、企業の基幹系システム、オペレーションシステムなどから抽出し、KPI(キー・パフォーマンス・インジケーター:重要業績評価指標)の形で、自動車のダッシュボードや航空機のコックピットのように一枚の画面の中でリアルタイム表示することができ、今現在何がどのような状況にあるかを瞬時に把握できるシステムだと説明しました。
北海道製油所メイン画面
 出光興産株式会社 技術部 プロセスシステムセンター 主任部員 村上大寿(だいじゅ)氏は、そのときのことを次のように振り返ります。

出光興産株式会社 技術部 プロセスシステムセンター 主任部員 村上大寿(だいじゅ)氏
「ダッシュボードシステムという言葉になじみはなく、完全にコンセプトを理解したわけではありませんでしたが、世界の石油メジャーはすでに自社開発をせずに、パッケージソフトウェアを使い始めているのだということに気がつきました。そこで、リアルタイム操業マネジメントシステムというジャンルに属する製品を幅広く調査してみることにしたのです」
石油業界を熟知した日揮情報システムのコンサル能力を評価してXHQを選択

 ほどなく、14社14製品の情報が集まりました。その中から村上氏は「XHQ」を含む4製品に候補を絞りこみます。重視した要件は、日本での実績、コスト、リアルタイム性でした。当時、日本でこの分野のパッケージソフトウェアを導入していた企業はほとんど存在していなかったのですが、少なくとも日本法人があり、迅速な対応が可能かどうかを検討しました。またいくら利便性が期待できても、自社開発プログラムを移行するよりコストがかかっては元も子もありません。さらに、リアルタイム操業マネジメントを標榜していても、実際にはリアルタイム表示ができないものもありました。村上氏はそのようにして要件を満たしていないものを一つ一つ消去していきました。
 最終決定を行うため、4つの候補製品を持つベンダーに、出光興産での導入を前提とした提案を依頼しました。その中で最も理解しやすいプレゼンテーションを展開したのが、日揮情報システムでした。村上氏はこう語ります。
 「日揮情報システムは、石油精製や石油化学コンビナート建設の経験が豊富な日揮を親会社に持つだけあって、われわれの業務を熟知していました。このようなシステムは、ソフトウェアの効能だけ謳ってもダメで、業務を知らないと使えるものは構築できないのです。彼らには実績に根ざしたコンサルティング能力がありました。“製油所でならこう使え、このような効果が期待できる”と具体的かつ力の入った提案をしてくれたので、任せても大丈夫だと思いました」
 村上氏はこの製品をさらに詳しく知るため、2006年1月、米国で開かれたシーメンスのXHQユーザーカンファレンスに参加しました。そこでは、エクソンモービルやシェブロン、サウジアラムコなど、名だたる石油メジャーがユーザーとして名前を連ね、全社展開している導入事例を紹介し、実際に開発した画面を見せていました。同氏はその様子を見て“これならいける”と確信を持ったそうです。石油メジャー各社がこぞって導入している製品だったことも、出光興産におけるXHQ採用決定を後押ししました。
 帰国後さっそく、村上氏は国内利用第一号の製油所を決定すべく、各製油所を回って導入を打診します。日本では前例のないシステムであったため、なかなか一朝一夕に理解を得るというわけにはいきませんでしたが、その中でも導入に前向きな姿勢を示したのが、出光興産株式会社 北海道製油所 執行役員 北海道製油所長 水田(すいた)清継氏でした。
 北海道製油所は、2003年に発生した十勝沖地震で大きな被害に遭遇した経験があります。原油、ナフサタンクが炎上したのみならず、所内の設備の至るところに深いダメージを受けたのです。全所一丸となって復旧に力を尽くしましたが、完全に元通りになるまでには長い年月を要しました。そうした過去があるだけに、高いレベルでの操業管理や安全操業への思いは他の製油所よりひときわ強いものがありました。また、所長の水田氏自身、前々から“このような形でデータを見たい”という考えを抱いており、それがついに実現できることをXHQを見たことで悟ったといいます。

出光興産株式会社 北海道製油所 執行役員 北海道製油所長 水田(すいた)清継氏

 おりしも出光興産では、2006年をめどに東京証券取引所への株式上場を計画していました。ひとたびパブリックカンパニーとなれば、ステークホルダーに対して重大な説明責任が生じます。決して時期を合わせたわけではありませんが、XHQ導入で操業マネジメントが高度化することには大きな意義がありました。このような理由によって、北海道製油所からの評価運用が決定したのです。

業務ノウハウに長けたエンジニアと整備ずみのデータのおかげで4ヶ月で本稼働

 XHQ導入プロジェクトは、2006年2月にスタートを切りました。技術部からは村上氏、北海道製油所からは出光興産株式会社 北海道製油所 管理課 古戸英雄氏が代表プロジェクトメンバーとなり、日揮情報システムからはプロジェクトマネジャーを含め7名の担当者が、この案件を全面支援することになりました。

出光興産株式会社 北海道製油所 管理課 古戸英雄氏

 XHQは、シンプルにデータを表示する新IRISと違って、そのデータがあるべき目標に対してどのような水準にあるかを示すことを重視します。そのため、プロジェクトはどのようなデータを指標としてそれをどのように解釈するかという定義から入りました。この作業には、エクソンモービルでXHQの導入経験のあるシーメンスのエンジニアも参画し、安全管理、環境管理、品質管理など各分野に関して指標を提案しつつ、プロトタイプシステムを開発しました。出光興産側はそれを見ながら、“もう少し詳細レベルで把握したい”“このデータでは状況は掴めない”などと意見を述べる形でシステムの完成度を高めていきました。
 そうした作業を繰り返すうちに、日揮情報システムのエンジニアは、プラントに関する知識はあっても製油所そのものを知っているわけではないことに問題を感じ、村上氏に現場勤務を体験することを願い出ました。村上氏もそれはいいことだと賛成し、エンジニアを操業の最前線へ送り出しました。
 エンジニアは製油所の操業現場を肌で知るとともに、製油所所員とコミュニケーションを深めることで、システム設計構想をより現場に密着したものにすることができました。プロジェクトメンバーの古戸氏は、当時を振り返って次のように語ります。「現場に入ったエンジニアを始め、日揮情報システムの担当者とは、われわれが日常利用する言葉で話すことができました。石油業界は専門用語がたくさんあり、この業界を知らないエンジニアだったら、一つ一つ解説していかなければならないから、スタートラインにつくまでに相当時間がかかったことでしょう。しかし、彼らは全部理解していたから、なんでも話が早かった。システムの本質論から入る事ができたのは、迅速な運用開始をめざしていた私たちとってはありがたいことでした」
 今回、出光興産北海道製油所では、システム設計開始からなんと4ヶ月という短期間で、XHQを立ち上げることに成功しています。 実現の背景の一つには、日揮情報システムのプロジェクトメンバーに深い業務ノウハウがあったことも事実です。 しかし、それ以上に重要だったのは、XHQで表示させたいデータの整理が「新IRIS」時代にすでに完了していたことです。 ほとんどのデータは各種業務システムのデータベースに格納されており、KPIさえ決定してしまえば、あとはXHQはそこからデータを取得するだけですみました。
 「最近、経営トップからの要望を受け、ダッシュボードシステムを構築したいと考える企業が増えているようですが、データの整備ができていなければ迅速な立ち上げは困難でしょう」(村上氏)

システム導入によるデータの統合で業務を標準化
導入から1年、XHQは北海道製油所で不可欠の存在に
 XHQをベースとした“新しい新IRIS”システムは、2006年10月に予定どおり本稼働を果たしました。安全管理、環境管理、品質管理、収支改善、生産管理、運転管理、省エネ管理、設備管理、用役(ユーティリティ)管理、高度制御、入荷計画、油種在庫、出荷実績という操業管理に関連する14項目にわたって、データをビジュアルに表示しています。
 1年が経過した現在(2007年12月)、今や北海道製油所では、このシステムを元にすべての業務が進められています。ここまで根づくに至った背景には、所長の水田氏自らの積極的なシステム利用がありました。
  朝、7時30分。出社すると同氏は、まっさきにXHQをのぞきます。なにか気になる変化を見つけるとただちに担当課に連絡、対策を講じるよう促します。
  また、同所では毎朝9時30分から30分間、所長をまじえた全体会議が行われます。この会議は十勝沖地震で被災した後に復旧作業の進捗管理のために行われたものが、今も形を変えて開催されているもの。ここでも議論の土台となっているのはXHQの画面です。会議に出席する全員が事前に画面を見ているので、担当者は“あの△△管理の件ですが”とすぐに本題に入ることができます。水田氏自身がXHQ上の指標の見方を講義するときもあります。会議出席メンバーの中には課長になりたての若手もいます。彼らに北海道製油所で行われている管理にどのようなものがあるか、教育するためにもXHQが活躍しています。
収益向上、ロス改善にも大きな効果
 所長の水田氏は、XHQの導入効果について次のように語ります。
 「導入以前は、“あれはどうなっているのか”と尋ねると、報告資料が出てくるまでに時間がかかって、イライラすることもありました。それが表情に出るのでしょう、部下たちを萎縮させる場面もあったのではないかと思います。
 それが現在では、誰にも聞かずに、自席にいながらにして、製油所全体の今が手に取るようにわかり、何かあればすぐにアクションを取ることができます。XHQが表示しているデータは、現在進行形で起こっていることを示すデータだからです。これは製油所の安全な操業に責任を持つ者として非常に大きな安心感があります。
 たとえば、具体的なアクションとしては、在庫や需要の変化を見ながら、操業調整を行うことができます。北海道製油所は太平洋に面しており、波が高くなるとタンカーが湾に入ってこれず、原油補給が難しくなります。しかし、XHQであと何日ぐらい製油所内の在庫が持つかは一目でわかるため、どのようにやりくりするか落ち着いて話し合うことができます。従来は在庫の把握から入らなければならなかったので、無用な危機感を抱きがちでした。
 また、重油などの需要が落ち込んできたとしましょう。そうなると、それらを生産するよりは需要の高いガソリンや灯油を多めに作った方が、同じ生産設備能力ならより高い収益を望めます。出光興産としての生産計画は全社レベルで決定するものですが、事業環境の変化が著しい今、現場での日々の状況判断も重要です。結果として、収益の向上、ロスの改善といった点でもはっきりとシステム利用効果が現れており、管理レベルの高い製油所が実現したと考えています」
 この他にも、すべての製油所員が操業管理全体を俯瞰的に把握できるようになった、その中で自分の業務がどんな役割を果たしているかわかるようになった、部門間の風通しがよくなった、など数々の利点を享受しているそうです。
最終的には全社で リアルタイム操業管理を実現予定
 XHQが柔軟にシステム改善が行えることも、北海道製油所内で高い評価を得ている理由の一つかもしれません。KPIを設定したもののうまく機能しなかったものはそれを見直したり、データ表示のルールを変えたり、導入から1年経った今も、水田所長以下の意見を取り入れながらより使い勝手のいいシステムへと日々進化しています。
 出光興産ではその後、徳山製油所・工場(石油化学)、愛知製油所へXHQを水平展開しています。すでに北海道製油所で操業管理業務の標準化が完成しているため、徳山では3ヶ月、愛知では2ヶ月というさらに短期間でカットオーバーすることができました。現在は千葉製油所・工場にも導入中。最終的には本社を含め全社レベルで、XHQを活用してのリアルタイム操業マネジメントを実現させていきます。
導入企業プロフィール
出光興産株式会社
本社
代表取締役社長
設立年月日
資本金
従業員
製油所
工場
国内支店
売上高
〒100-8321東京都千代田区丸の内3-1-1
天坊 昭彦
1940年3月30日(創業1911年6月20日)
1,086億円(2007年3月末現在)
7,474名(2007年3月末現在)連結
北海道・千葉・愛知・徳山
千葉・徳山
18ヶ所(2007年3月末現在)
3兆3,947億円(2006年度)連結
  • ポジティブROOM
  • ポジティブファミリー