導入事例 CASE EXAMPLES

「SmartPMO」導入事例 - 日揮情報システム株式会社

100本を超えるプロジェクトの状況をポートフォリオで完全掌握。赤字発生を未然に防いだのは、 “見える化”を可能にした「SmartPMO」

情報システムエンジニアリングカンパニーである日揮情報システム株式会社では、 常に100を超えるプロジェクトが同時並行で進んでいます。 それらが現在どのような状況にあるかは、それまで月1回の文書報告ベースで管理されていました。 しかし、それでは潜在リスクの発見が遅れがちで、ときには赤字プロジェクトの発生につながることもありました。 そうした中、発見したのがプロジェクト・ポートフォリオマネジメント「SmartPMO」でした。CMMIをもとに設計され、 全プロジェクトのリアルタイム管理を可能にするこのアプリケーションの導入により、 同社はプロジェクトの真の“見える化”と“標準化”を実現。 プロジェクト現場の業務品質が大幅に向上するとともに、赤字プロジェクト発生の未然防止に成功しました。

困難だった潜在リスクのタイムリーな把握

 日揮情報システム株式会社(以下、J-SYS)は、情報システムを専門領域とするエンジニリアリングカンパニーです。多くの企業にシステム構築・導入・運用保守業務を提供しており、社内には常に100本を超えるプロジェクトが同時並行で進んでいます。  プロジェクトの進捗管理自体は、その案件を担当するプロジェクトマネジャー(以下、PM)が行いますが、全プロジェクトが順調に進んでいるかどうかは、経営の観点でもチェックする必要があります。  従来、こうしたプロジェクト状況の把握は、PMから提出される文書報告によって月1回ベースで行われていました。管理者や経営層からすればもう少し頻繁に状況を知りたいと思っていましたが、現場管理を行うPMにとって報告書作成は負荷のかかる仕事で、これ以上の頻度での実現は事実上困難でした。  報告書そのものについても問題がありました。情報システム関連のプロジェクトでは、さまざまななことが起こります。思わぬところで時間やコストがかかったり、途中で仕様変更が生じたり、当初の予定どおりにはなかなか進みません。PMはそれでも「これぐらいなら取り返せる」と、とかく生じている問題を過小評価して報告しがちです。報告書では見えにくい潜在的なリスクを洗い出すため、これまでは月1回報告が上がってくるタイミングで全PMにヒヤリングをかけていました。そこでリスクが明らかになったプロジェクトには、何らかの対策を講じます。しかし、ときにはかなり状況が悪化していて解決に時間・工数・コストを要し、結果としてプロジェクトの収益を大きく落とす、赤字に転落するといったこともありました。  一方、プロジェクト現場にも悩みはありました。それはPMノウハウの属人化。J-SYSには標準Work Breakdown Structure(以下、WBS)が存在し、プロジェクト遂行手法は確立されたものがあります。しかし、プロジェクトを円滑に進めるためにはそれだけではない経験知も求められます。たとえば、品質レビューをどのように行うか、余裕工数の最適値をどう見積もるか、変更管理をどうルール化するか。詳細については、PM個々の技量に委ねられました。  つまり、管理者、経営層は“全プロジェクトの状況をタイムリーに把握して適切なアクションを取りたい”、プロジェクトの最前線では“全社レベルでの業務のさらなる標準化、品質向上を実現したい”と願っていたのです。

CMMIに基づいて設計されたプロジェクト・ポートフォリオ管理システム

 そうしたおり、発見したのが、韓国のSIer ポスデータ社(現POSCO ICT社)のソフトウェア開発向けプロジェクト・ポートフォリオマネジメント「SmartPMO」でした。  これは、米国カーネギーメロン大学 ソフトウェア工学研究所が公表したソフトウェア開発プロセスの改善モデルとアセスメント手法をもとに考案された能力成熟度モデル Capability Maturity Model Integration(以下、CMMI)に基づいて設計されたまったく新しいプロジェクト管理アプリケーションで、その管理手法には、米国PMIの策定したProject Management Body of Knowledge(PMBOK)も採用しています。  そのため、経営層から現場まで全社レベルで、全プロジェクトの状態をリアルタイムに把握することができます。プロジェクトの状況は具体的に、「進捗率」「コスト・工数」「成果物」などの指標により直感的に確認可能で、気になるプロジェクトがあれば詳細データをドリルダウンより追跡可能であるため、適切なアクションをタイムリーに取ることができます。  こうした特長を知って、J-SYSは「Smart PMOは、当社が、また日本の情報システム部門やシステムインテグレータがまさに必要としているアプリケーション」と判断。自社で採用するとともに、日本に広く紹介していくことを決定したのです。

 4ヵ月の技術移転段階を経て 6ヵ月間の試験運用を実施

 SmartPMOは大きく、営業部門で利用する「営業管理」、プロジェクト部門で利用する「プロジェクト管理」「事後管理」、主にマスタデータを管理する「全社管理」の4機能があります。 J-SYSではまず、2008年4月からポスデータの技術者から4ヵ月かけて技術移転を受けながら、SmartPMOの日本語化および日本のソフトウェア開発プロジェクトの実情に合わせたローカライズを完了しました。ここでJ-SYS提言のもとに実現したのがMicrosoft Office Projectとの連携機能です。タスクレベルで行う進捗率管理はこのソフトウェアで行い、アクティビティレベルの進捗率管理をSmartPMOで行うといった機能分担を可能にしました。  続いて、2008年10月から営業部門から1部署、開発部門から比較的規模の大きな6プロジェクトをピックアップして、「案件管理」「プロジェクト管理」を中心に3ヵ月間の試験運用を実施。その後、現場での利用を継続しながら、管理者、経営層を中心に「プロジェクト評価」機能を見ていきました。  当初、営業部門、開発部門ともに、すでに定着していた表計算ソフトベースの管理スタイルが変わってしまうということに少し抵抗があったようです。事実、開発部門ではしばらく並行利用が続き、営業部門でも表計算ソフトウェアでの管理を生かす場面もありました。しかし、しだいにデータ入力の中心はSmartPMOへ移っていったといいます。その理由を、日揮情報システム株式会社 営業本部 産業ソリューション営業部 小池伸明は、次のように語ります。 「SmartPMOを利用すれば、プロジェクト遂行に必要なプロセスを抜け漏れなく自然と網羅できる上に、報告のための報告書を作成しなくてもすむからです。計画の作成を支援してくれる上に、実績値を入力していれば、それが自動的に上司が閲覧可能となっていきます。また指標値でプロジェクト状況が表示されるため、順調に進んでいるかどうかの判断が客観的に行えます」  一方、管理者、経営層が実感したのは、SmartPMOの利用で、同時並行で走っているプロジェクトの全容が、ひと目で見渡せることでした。リスクのひそんだプロジェクトを、時間をかけることなく発見可能になったのです。

 今期、赤字プロジェクトはゼロ  SmartPMOが実現した業務の「見える化」

 J-SYSは、半年の試験運用を成功裡に終えて、2009年5月より全社展開を開始しました。それから10ヵ月。SmartPMOを日本語化する段階から携わってきた日揮情報システム株式会社 第1ソリューション本部 ビジネスソリューション第3部 第3チーム マネジャー 加藤正巳は、導入による成果を次のように語ります。 「今期、当社は赤字に転落したプロジェクトがまだ一件も発生していません。これはおそらくSmartPMOを利用することによって、管理者、経営層によるモニタリング頻度が上がり、必要なときに必要なアクションが取れることになったことが大きく影響しているのではないかと思います。  また、CMMIに準拠したアプリケーションでプロジェクト管理を実施していることで、お客さまから信頼を得やすくなりました」  加藤自身、SmartPMOによるプロジェクト情報の全社共有実現で仕事が大きく変わったといいます。たとえば、営業部門で今どの顧客企業とどのような案件が進んでいて、それがいつごろプロジェクトとして立ち上がりそうか、自分の担当企業でほかにどんなプロジェクトが並行して進行中かといったことが自ら検索して把握できるようになったため、業務が進めやすくなったのです。  技術移転段階からほぼ2年の経験で、J-SYSは導入コンサルティングや個別カスタマイズを単独で行えるまでの技術スキルおよび運用ノウハウを蓄積しました。実際、自らの体験をもとにSmartPMOを紹介すると、プロジェクト管理の洗練を模索する企業や経営層から高い関心を寄せられるといいます。実は日揮情報システム 代表取締役社長 中島昭能もその一人。SmartPMOへの期待をこう語ります。 「グローバルなエンジニアリング企業である日揮のDNAを受け継いでいる当社の特徴を、一言で表せばプロジェクトマネジメント力といえます。会社の成長を促すためにプロジェクトマネジメント力の強化と品質強化は永遠の課題ですが、韓国ポスデータを訪問した際にSmartPMOの説明を受け、これこそがJ-SYSに必要なものだと直感し、日本語化対応を経て全社展開しました。これによりマネジメント業務の効率と関連データの一元管理が可能になるだけでなく、社員一人ひとりが意識することなく必然的に作業の標準化が図られるものと期待しています。それは、当社の基礎力が強化されるだけでなく、対外的な信頼と安心に寄与することになると信じています」  SmartPMOによるプロジェクト・ポートフォリオ管理で、いつでもどこまでも「見える」システム開発。J-SYSがその実現を全力で支援します。

※本事例は2010年3月現在のものです

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